「マダム イン ニューヨーク」


 映画「マダム イン ニューヨーク」を見ました。主人公であるインド人女性のシャシは、2人の子供と夫とともに暮らす主婦。  

 ある日、ニューヨークに住む姪の結婚式の手伝いで、家族と離れひとり旅立つことになります。

  

 英語を話せないシャシは、普段からそれを家族にからかわれて嫌な思いをしていましたが、旅先でもまた、英語でコミュニケーションが取れずに散々な目にあいます。  

 そんな折、ふとしたきっかけで目にした英会話学校の広告をきっかけに、英語を学びはじめたシャシの世界は少しずつ変化していきます。


  英会話学校で出会った仲間の多くは、移民やLGBTなど現地ではマイノリティと言われる人々。それぞれに、周囲からの侮辱や不敬な態度に耐えかねたり、何らかの必要を感じて学校の門をくぐります。 

  そしてシャシもまた、多くの女性がそうであるように主婦という役割についた途端、まるで社会という広い世界から切り離されて家庭という小さな世界に閉じ込められたかのように、社会的存在としての自分を小さく感じています。

 彼女は、家庭に入り家族のケアに時間を使うことに確かな充実や幸せを感じながらも、妻や母にケアされながら広い社会に出て行く家族から受ける侮辱に、時に傷ついてもいます。

 英語を話せない事をバカにされたり、どんな感情をぶちまけても許されるゴミ箱のように軽く扱われたり。 


  コンプレックス、苦痛を感じる閉じた現状から自分を解放するのは自分。少しの勇気が自分の世界を変えていく。 そんな事をこの映画は投げかけています。  


 人との間、特に身近な家族や友人関係において、上下関係ではなく対等な関係を望むのは世界共通なんですね。シャシに共感しかありません。 


  最後にシャシが英会話学校でともに学んだ仲間に伝えたセリフに、この映画のすべてが織り込まれているような気がしました。


  「人は自分の事を嫌いになると周りのこともイヤになって新しさを求める。でも、自分を愛する事を知れば、古い生活も新鮮なものに見えてくる。すてきなものに。 自分を愛する事を教えてくれてありがとう。」  


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