「メンタル脳」


 「スマホ脳」「運動脳」の作者で、スウェーデンの精神科医であるアンデシュ・ハンセンの最新作「メンタル脳」を読みました。


 著者は、何がメンタル(=感情)の調子を左右するのか、そもそもメンタルというのはどういう仕組みになっているのかについて、専門家の間でも最近になってわかってきた知識を広めるために「ストレス脳」という本を書き、世界34カ国に翻訳されました。それだけ世界中の多くの人が自分のメンタルと格闘しているのだといえます。


 「ストレス脳」を中高生のティーンエイジャー向けにした本書「メンタル脳」は、スウェーデンの学校の80%に相当する4000校に無料で配られ、20万人の中高生が手にしています。


 福祉国家として知られるスウェーデンではここ20年、不眠で受診する10代の若者が10倍に増えているそうです。


 著者の「〇〇脳」シリーズが世界中でベストセラーになっているのは決して偶然ではなく、世界中の人が今まさに切実な問題として困っている心の問題に対する、現実的で具体的な処方箋が、ここには書かれているからです。


 そしてそれは、臨床の現場で多くの人の悩める現実と向き合っている現役の精神科医が、最新の研究を踏まえながらも、できるだけ多くの人に伝えるようにと、わかりやすい言葉で書いてくれた、新鮮で温かく効果的な処方箋です。


 もちろん大人にとってもわかりやすい本なので、内容にご興味のある方はお手に取ってゆっくりお読みいただきたいと思いますが、ヨガの練習生にとって、非常に重要なポイントを一部、以下に引用させていただきます。




  側頭葉の奥深くに、脳の中でも最高の機能を持つ「島皮質(とうひしつ)」があります。そしてここが「外界からの情報」と「身体の中から受け取る情報」が出合う場所だと考えられています。外と中の世界が溶け合い、感情が生まれるのです。


 感情というのは「自分の周りで起きていることへの反応」だと思うかもしれませんが、そうではありません。(中略)感情は周囲の情報と身体の中の情報を、脳が「説明」し、「まとめ」たものです。感情が生まれる場所があるとしたら、各情報が溶け合う島皮質なのです。

(中略)

 つまり、身体の中から脳が受け取るシグナルもメンタルを左右しているのです。

 「身体と脳は別物だ」というイメージを持っているかもしれませんが、脳も身体の一部であり、脳だけ独立しているわけではありません。脳は脳脊髄液という液体に浸かっていますが、脳脊髄液の状態は血圧や血糖値、血中脂質などによって変化します。つまり身体が健康だと脳も良い環境で過ごせるのです。


 運動すると、身体の器官や組織が強くなるだけでなく、脳脊髄液を安定させてくれます。また、肺が酸素を取り入れる能力も向上し、心臓や肝臓も強くなります。そうやって脳が良いシグナルを受け取ると、受け取ったシグナルを基に感情がつくられるので、幸せな気分になる可能性が上がり、不快な感情がわくリスクも減るのです。


 実際、運動はうつを防ぐために出来る1番重要なことのひとつです。



 

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