無印良品と悪魔祓い
大きめの無印良品のお店に置いてある、本のラインナップに、興味を惹かれまくります。
「気持ちいいのはなぜだろう。」
というメッセージにもあらわれている通り、日々の暮らしに目をこらし、本当に大切なものを発見し、学んでいく、という姿勢のもとに集められたであろう本達。ヨガの本もあります。
どうも、同じ著者の本ばっかり連続して熟読してその著者の内的世界に浸りたい時期と、今まで読んだ事のない著者が開いてくれる新しい世界との出会いを求めている時期があるようで、今は自分にとっての新しい世界が広がる方向に自然と手が伸びます。
興味を惹かれるたくさんの本の中から、この日は「人は皮膚から癒される」という、臨床発達心理学の山口創さんが書いた一冊を選んで読みました。
私は昔から皮膚が弱く、紫外線や合わない化粧品などの外的ストレスや心理的なストレス症状が肌に出やすくて、その敏感肌体質からくる不安定さというのがあるよな〜と思っています。ちなみにお腹も弱くて、なんていうか、自分の外と内の境界線を引きにくい体質という感じなので、そこを自覚して、身を守るために気をつけておかないといけない事も多いです。
そんな事もあって、この「人は皮膚から癒される」という本を手に取り読み進めていたら、偶然、ちょっと前に"先が見えないからおもしろい"の記事にも書いた上田紀行さんの本の引用文が以下のようにポンっと出てきました。
「もともと「癒し」という概念は、未開社会で呪術によって患者を治療していた呪術医が、人々の病気を治す悪魔祓いの行為を指すものだという。
文化人類学の上田紀行は、癒しの意味について、次のように述べている。
「 (癒しとは)なんらかの原因で、地域社会や共同体から、孤立してしまった人を再び、みんなの中に仲間として迎え入れること、そのための音楽や劇、踊りを交えて、霊的なネットワークの繋がりを再構築すること(である)「覚醒のネットワーク」 」
臨床発達心理学と、文化人類学が、思わぬ所で繋がった 笑。
この、悪魔祓いとしての癒しの儀式、ネットワークの再構築、という話を読んですぐに頭に浮かんだのが、数年前にバリ島に行った時に見た「ケチャ」という民族舞踊です。今思えば、ケチャはまさしく、現代に生きる私たちに合わせてエンターテイメントとして昇華されつつも、悪魔祓いとしての癒しの機能を果たしているものでした。
バリ島の力強い波が押し寄せる海のそばで、夕暮れ時に火を焚いて、世界中の人が密集して輪になって、現地の人が歌い踊る劇を観てみんなで汗をかきながら笑った時のあの感じ。
ひるがえって、この数年のコロナ禍が私達の生活にもたらした変化というのは、このような癒しとは真逆の、地域社会や共同体の分断を加速させるようなものが多く、自ら積極的に壁を払って人の輪に入っていく勇気を育む事で、「気持ちいいのはなぜだろう」という問いに対するヒントが見えてくるのではないかと思っています。
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