消化には時間がかかる

先日、洗濯を干しながら音楽を聴いていた時、それは最近よく聴いている耳慣れた曲なのですが、何の脈絡もなく突然すーっと涙が出てきたと思ったら、最近亡くなられたお知り合いの顔がふと思い浮かびました。

感情というのは本当に不思議なもので、何かが起きたその時にその場で感じる事もあれば、まるで冷凍品が解凍される時を待って漂ってくるにおいみたいに、時間差を置いて感じる事もあります。

今までにも同じような事は何度かあって、どうやら、自分や、自分の近しい人の病気や怪我、何らかのトラブルなどの渦中の真っ只中にある時、そこで感じるはずの感情は無意識の内に冷凍されたまま、自分の内のどこかにストックされるみたいです。

そうして渦中から抜け出してひと息つける状況になり、心身が緩んだ頃に冷凍状態の感情は解凍され、ようやく自覚されます。

いま、自分が、大丈夫かどうかって、意外と今の自分にはわかっていなくて、ずいぶん後になってから、何かの音や言葉をきっかけに「…自覚していたよりも心は衝撃を受けてたんだな」と、ひとり事後報告みたいな事が起きて、報告を受けた方の自分がびっくりしたりします。

自分の事をわかるのには、経験を重ねるだけではなく、どうやら待つ時間も必要みたいです。

消化しきれない程の食べ物を一度に食べたらお腹を壊すみたいに、あらゆる経験も自分の心の昇華が追いつかないと、心の具合を悪くします。

私はお腹の消化力が弱い事は自覚してますが、心の昇華力についてはどれほどか、自覚するのにはまだまだ時間がかかりそうです。