ニュートラルに戻す

 現代アーティストの小松美和さんの描いた絵をインターネットで目にして、これはすごいと思い、私にしては珍しく画集を買ってきて家で眺めています。

 小松さんがイベント時のスピーチで、「絵」というのは人にとって必要な「薬」だと思って描いているのだという話をしていて、なるほど、今の私にちょうどその薬が効いたのだな、と思いました。



 解剖学者の養老孟司さんがよく書いているのが、人の脳のはたらきを左右にわけてすごく大雑把に説明すると、左脳は言葉を介して世界に触れる言語脳で、右脳は音楽や絵画などを介して世界に触れる芸術脳である、という事です。そして養老さんも、芸術・アートというのは言葉や意味の情報過多で左脳偏重に陥っている現代人にとっての解毒剤であると言っています。



 ヨガのレッスン中に自分の内側で感覚や感情がどのような動きを見せるのかは、どれだけ頭で考えても実際に身体を動かして経験してみないと、自分でも事前にはわからないのだとお伝えしています。

 不思議といえば不思議なことなのですが、自分の内側で今現在起きている心の動きに、案外、自分自身でもリアルタイムに気づいていない事が多くて、外側からやってくる他者との出会いによって心に揺さぶりをかけられて、あるいは自分で動きながら同時に内側の心の変化を注意深く観察する訓練を重ねてはじめて、自分の内なる声なき声が聞こえてきます。



 生き物は、身体の上下、左右、前後、内外など、あらゆる二極のどちらかの働きを使いすぎたり使わなすぎたり、依存しすぎたり無視しすぎたりしているアンバランスな状態に置かれると、なんとかしてバランスのとれた安心で快適、ニュートラルな状態に戻ろうとするように元々できているらしく、薬が効いて癒されたという感じはいつも、よくいる所やよくする事の反対側からもたらされます。


「双の星の宿命を持つ神獣、そして門は開かれる」



「正しき道への道標」

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