禅坊 靖寧
2022年4月にオープンした淡路島の禅リトリート施設「禅坊 靖寧(ぜんぼうせいねい)」に行ってきました。
リトリートとは、日常の生活や仕事から一時的に離れ、心身をリフレッシュして自分と向き合う時間を過ごす旅のことです。日本の子午線、東経135度に位置するこの施設は世界的な建築家の坂茂さんによるもので、まるで空中に船が浮かんでいるかのような独創的な建物です。
スタッフさんの説明によると、ヨガや瞑想を行う2階のスペースは、あえて天井を低くして、空や海が視界に入りすぎないように設計されているそうです。鳥のさえずりや、木の葉のざわめき、吹き渡る風を感じながらも同時に、自分のうちに意識を集中しやすいように計算しつくされています。
私がはじめにヨガ指導者養成講座を受けたのは天王寺の老舗、鶴原ヨガスタジオです。今は場所を移転されていますが、当時はてんしば近くのビルの上階にスタジオがありました。養成講座に通っていた時に感じたことを今でもよく覚えているのですが、それは何かというと「都会のビルの一室で体を動かしただけなのに、なぜか自然の中で一日中寝っ転がっていたあとみたいに心身がスッキリとしている!」という驚きです。
はじめはその不思議な感覚にただ驚いていましたが、今思えばあれは、大自然に身を浸すことで起こる心身の変化を、自分で自分の体を動かしながら意識の方向性を整えることでも同じように味わうことができると気づいた瞬間の驚きでした。ヨガをすることで、”自分のからだ”といういちばん身近な環境の風通しが良くなり、快適な感覚の流れが生じるからです。
禅坊靖寧はほんとうに理想的なリトリート施設で、体の外側からも内側からも自分の詰まりが流されてスッキリし、ただそのまま何もしない静寂な時間に包まれるようでした。自ら動くことで起こせる変化もあるけれど、自然の恵みを素直にいただくことや、多くの人の知恵や力の結集したサービスを受けることのありがたさには、やはりはかり知れないものがあります。
今回、参加したのは「日中のZEN Wellness ランチプラン」という2時間半のプランで、ヨガや瞑想を体験したあと、禅坊料理をいただきました。日本のはじまりの地ともいわれる淡路島で、体のすべての感覚が警戒態勢をゆるめて本来の自然な状態に戻っていくような、とてもやさしい時間でした。
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